空飛ぶエビフライ!?

Flying fried shrimp !? Cephonodes hylas

 秋の日差しの中、キラめき翔ぶ不思議生物の正体は?

 昆虫というと、セミやヤンマ、カブトムシ、クワガタなど、子供たちの昆虫採集の対象にもなり夏のイメージが強いですが、実は秋もカマキリやバッタなどは活動最盛期で、戸外で昆虫を見かける機会の多い季節です。

ホバリングしながらアベリアを吸蜜する不思議生物・オオスカシバ


 また、秋の野辺に咲く花の種類が多いため、ハチ目、チョウ目などの吸密昆虫の活動も盛んです。この時期、公園に数多く植栽され、細かな花が無数に咲くアベリア(Abelia)は虫たちに人気の低木ですが、その中にホバリングしながら蜜を吸う背中が黄色くお腹側は白い毛に覆われた、下半身はエビのような変な生き物を見かけたことがありませんか?その名はオオスカシバ。全国に愛好家も多い隠れた人気生物です。

 体長は約3~5センチ、開張5~7センチで、口先がとがり、明るい日中に好んで花の吸蜜に訪れます。くるんと巻いた管状の口吻をのばして、空中に停止しながら蜜を吸います。胴体は上から見るとほぼ寸胴で、横から見ると胸部が太くもりあがり後端に向けてやや扁平に厚みが薄くなるラミネートチューブ型をしています。

「エビフライ」に喩えられる膨らんだ尻尾の毛束

 頭部から後背部にかけてのメインカラーはパッと目を引くカナリアイエローで、腹部は純白。腹部の中央付近には、胴を一周するように濃赤色、黒、白のボーダーラインが入り、このボーダー模様には個体差があります。最後端のお尻には刷毛のような黒い毛束があり、飛び立つときや、空中で垂直に近い態勢でホバリングする際に毛束を広げて、飛行機の尾翼のように浮力を強めます。この毛束を広げた姿が腹部のボーダーラインとあいまって、まるでエビのように見えるため、愛好家には「エビフライ」と称されます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です